高齢者の成年後見制度について解説

ここでは、高齢者の財産を守るための成年後見制度について解説しています
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このページでは、高齢者の財産管理と成年後見制度について解説しています。

 

高齢者の財産管理と成年後見制度

高齢になると、認知症と認定されていなくても判断能力や計算能力が鈍くなります。
致し方ないところではありますが、そこにつけこんで、特に一人暮らしのお年寄りや子供と同居していても配偶者がいない高齢者などはターゲットとなり詐欺や悪徳商法が後を絶ちません。

 

具体的には、以下のものが新聞やテレビのニュースでも取り上げられています。

 

  • 悪徳住宅リフォーム詐欺
  • 子どもや孫を装っての振り込み詐欺
  • 勝手に送りつける代金引換詐欺
  • 公的機関の名称や公的書類を使った年金詐欺

これらの詐欺から高齢者を守るには、財産管理が必要になります。その財産管理の社会的バックアップ制度としてあるのが、成年後見制度や日常生活自立支援事業になります。

 

そこで、まずは、成年後見制度から学んでいきましょう。

 

成年後見制度について

成年後見制度とは、判断能力の低下した高齢者等が契約などの法律行為を必要とする際に、本人の権利を守る人を選び、支援を行う制度です。本人の権利を守る人を「受任者」といいます。

 

ここでいう「判断能力が低下した」とは、認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等などの精神上の障害により判断能力が不十分な場合を言います。

 

そのため、単なる浪費癖や身体上の障害という場合には成年後見制度利用することはできません。

 

成年後見制度の種類

成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度があります。

 

法定後見制度は、申立人が必要書類と費用を添えて家庭裁判所へ提出し、家庭裁判所が成年後見人等を選任します。
法定後見制度には、成年後見、保佐、補助の3つの類型があります。

 

一方の任意後見制度は、事前に、将来判断能力が不十分になったときに備えて、あらかじめ選んだ任意後見人に、自分の身上監護や財産管理について代理権を与える目的で、公正証書による契約を結ぶものです。

 

 

法定後見制度

成年後見 本人の判断能力が全くない場合に家庭裁判所が後見人を選びます。
保佐 本人の判断能力が著しく不十分な場合に家庭裁判所が保佐人を選びます。
補助 本人の判断能力が不十分な場合に家庭裁判所が補助人を選びます。

任意後見制度

本人に判断能力があるうちに将来判断能力が不十分な状態になることに備え公正証書を作成して任意後見契約を結び任意後見人を選んでおきます。

成年後見、保佐、補助による権限の違い

行為等

後見

保佐

補助

対象となる方 判断能力が 全くない方 判断能力が著しく不十分な方 判断能力が不十分な方
申立てができる人 (申立人) 本人、配偶者、親や子や孫など直系の親族、おじ、おば、甥、姪、いとこ、配偶者の親・子・兄弟姉妹等
申立てについての本人の同意 不要 不要 不要
医師による鑑定 原則として必要 原則として必要 原則として必要
成年後見人等が同意又は取り消すことができる行為 日常の買い物などの生活に関する行為以外の行為

重要な財産関係の権利を得喪する行為等(民法第13条1項
記載の行為)

申立ての範囲内で裁判所定める行為(民法第13条1項
記載の行為の一部に
限る)(本人の同意が必要)

成年後見人等に与え られる代理権 財産に関する全ての法律行為 申立ての範囲内で裁判所が定める特定の行為(本人の同意が必要) 申立ての範囲内で裁判所が定める特定の行為(本人の同意が必要)

 

後見人になれる人

特に資格はありませんが、他人の財産管理や身上監護を守ることになりますから、公正さや一定の法的知識も求められます。
そのため、家族・親族以外では、弁護士や司法書士、社会福祉士などの専門職が多くを占めます。

財産管理とは
生活費の送金や日用品の買い物。、生命保険の加入、保険料の支払い、保険金の受け取り、権利証や通帳などの保管、不動産の管理・処分、遺産相続の協議・手続きなど

身上監護とは
介護保険などの利用手続き、老人ホームなど施設の入退所、介護サービスの異議申立て、医師の病気やケガなどの説明に同席するなど。

 

成年後見人と本人の関係及び件数

〈平成25年1月~12月まで、最高裁判所事務総局家庭局の資料より〉

  • 配偶者:1,181件
  • 親:957件
  • 子:7,594件
  • 兄弟姉妹:2,031件
  • その他親族(配偶者、親、子及び兄弟姉妹を除く親族):2,301件
  • 弁護士:5,870件
  • 司法書士:7,295件
  • 社会福祉士:3,332件
  • 社会福祉協議会:560件
  • 税理士:81件
  • 行政書士:864件
  • 精神保健福祉士:22件
  • 市民後見人:167件
  • その他法人:959件
  • その他個人:129件
成年後見人になれない人
  1. 未成年者
  2. 成年後見人等を解任された人
  3. 破産者で復権していない人
  4. 本人に対して訴訟をしたことがある人,その配偶者又は親子
  5. 行方不明である人

 

成年後見人の手続きと申し立て人について

申立ては、本人の住所地(住民登録をしている場所)を管轄する家庭裁判所になります。申立てができる人は、「本人、配偶者、4親等内の親族、成年後見人等、任意後見人、成年後見監督人等、市区町村長、検察官」です。

 

4親等の親族とは:子・孫・曾孫・曾孫の子・親・祖父母・曾祖父母・曾祖父母の父母・ 兄弟姉妹・おじ・おば・甥・姪・いとこ・配偶者の親・配偶者の祖父母・配偶者の曾祖父母・配偶者の子・配偶者の孫・配偶者の曾孫・配偶者の兄弟姉妹・配偶者の甥姪・配偶者のおじ・おばなど

 

成年後見人の申し立てに必要な書類と費用

申し立て書類

  • 申立書
  • 申立事情説明書
  • 親族関係図
  • 本人の財産目録及びその資料 (不動産登記簿謄本(全部事項証明書)、預貯金通帳のコピー等
  • 本人の収支状況報告書及びその資料(領収書のコピー等
  • 後見人等候補者事情説明書
  • 親族の同意書

 

戸籍謄本

  • 本人及び後見人等候補者(本人と後見人等候補者が同一戸籍の場合には1通)

 

住民票(世帯全部、省略のないもの)

  • 本人及び後見人等候補者(本人と後見人等候補者が同一世帯の場合には1通)

 

登記されていないことの証明書

  • 本人(証明事項は、「成年被後見人、被保佐人、被補助人、任意後見契約の本人とする記録がない欄 にチェックを入れる)

 

診断書(成年後見用)、診断書付票(主治医等に作成してもらう)

 

愛の手帳の写し(知的障害の方が各種サービスを円滑に受けるための療育手帳。総合判定の記載のあるページのコピーも必ず添付)

 

成年後見人の手続き費用

費用

  • 申立手数料(後見・保佐・補助共通):800円(印紙)
  • 登記費用:2,600円(印紙)
  • 送達・送付費用:後見の場合3,200円(郵便切手)、保佐・補助の場合4,100円(郵便切手)
  • 鑑定費用:本人に判断能力がどの程度あるかを医学的に判定するための手続です。申立時に提出する診断書とは別に家庭裁判所が医師 に鑑定依頼をする形で行われます。5万円から15万円(家庭裁判所から連絡があり、定められた期限内に納付する必要がある)。

 

後見人候補者以外に他の者が選任されることはありませんか?

以下に該当する場合は候補者以外に選任されたり、成年後見監督人等※を選任することがあります。
以下が該当するものです。

  • 親族間に意見の対立がある場合
  • 流動資産の額や種類が多い場合
  • 不動産の売買や生命保険金の受領など申立ての動機となった課題が重大な法律行為である場合
  • 遺産分割協議など後見人等候補者と本人との間で利益相反する行為について後見監督人等に本人の代理をしてもらう必要がある場合
  • 後見人等候補者と本人との間に高額な貸借や立替金があり、その清算について本人の利益を特に保護する必要がある場合
  • 従前、後見人等候補者と本人との関係が疎遠であった場合
  • 賃料収入など,年によっては大きな変動が予想される財産を保有するため定期的な収入状況を確認する必要がある場合
  • 後見人等候補者と本人との生活費等が十分に分離されていない場合
  • 申立て時に提出された財産目録や収支状況報告書の記載が十分でないなどから今後の後見人等としての適正な事務遂行が難しいと思われる場合
  • 後見人等候補者が後見事務に自信がなかったり相談できる者を希望したりした場合
  • 後見人等候補者が自己または自己の親族のために本人の財産を利用(担保提供を含む。)し、または利用する予定がある場合
  • 後見人等候補者が、本人の財産の運用(投資)を目的として申し立てている場合
  • 後見人等候補者が健康上の問題や多忙などで適正な後見等の事務を行えない、又は行うことが難しい場合
  • 本人について、訴訟・調停・債務整理等、法的手続を予定している場合
  • 本人の財産状況が不明確であり、専門職による調査を要する場合

※後見等監督人とは、家庭裁判所が後見人がしっかりと仕事をしているのかを監督するものです。
具体的には、成年後見人等が選任されると家庭裁判所は成年後見人等に対して一定期間ごとに、領収書や取引に関する書類をきちんと保管しているかなどの事務を適切に行っているか、又は、後見等の事務を行う上で問題点がないかを確認するため定期的に照会をし、それに対して回答(報告)をしていただき監督を行っています。
ただし、その役目を弁護士や司法書士などの専門職に後見等監督人に選任される場合があります。
この場合には、上記のような報告書等はその後見等監督人に対して提出することになります。
※ 後見等監督とは、後見監督、保佐監督、補助監督の総称です。

 

以上、「高齢者の成年後見制度」についてでした。

 

該当カテゴリー:高齢者
関連カテゴリー:介護保険の基礎介護施設

 

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