平成29年介護職員処遇改善加算について解説

平成29年改正によるの介護職員処遇改善加算について解説しています
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このページでは、介護職員改善加算とはどのようなものか、平成27年度との主な変更点、平成29年度の介護職員処遇改善加算要件、加算率についてまとめています。

 

参考:厚生労働省リーフレット介護職員処遇加算改善の拡充リーフレット厚生労働省の各都道府県知事あて通知「介護職員処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について

介護職員改善加算とは

介護職員改善加算とは、介護の離職率が高いという問題点に、仕事のわりには賃金が低いなどの理由があるため、介護の現場に携わる職員に対して給与面で報いるために創設された加算金をいいます。

 

従前は、介護職員処遇改善交付金という名称で、介護職員(常勤換算)1人当たり月額平均1.5万円を交付する制度でした。

 

平成27年度改正においては、名称を介護職員改善加算に変更の上、内容も大幅に変更しています。
このような経過をたどり、そしてさらに平成29年度に次のように改正されました。

 

平成29年度の介護報酬改定の概要

厚生労働省のリーフレットからの引用です。

平成29年度より、キャリアアップの仕組みを構築し、月額平均1万円相当の処遇改善を実施するため、臨時に1.14%の介護報酬改定を行うものである。
参考:介護報酬改定1.14%(内訳:在宅分0.72%、施設分0.42%)

 

介護職員改善加算の区分変更

従前の介護職員改善加算区分は、ⅠからⅣ(4)まで4区分でしたが、平成29年度から区分は1つ増えて5区分になります。

 

結局、従前の介護職員処遇改善加算Ⅰを取得している場合には、平成29年4月1日から新設される「加算Ⅰ」を取得すると、介護職員には更に月額平均1万円相当の賃金を上げることができます。

 

従前制度の区分(左側)は、新制度(右側)では次のように変更されました。

 

  • 新設 → 加算Ⅰ
  • 旧加算Ⅰ→加算Ⅱ
  • 旧加算Ⅱ→加算Ⅲ
  • 旧加算Ⅲ→加算Ⅳ
  • 旧加算Ⅳ→加算Ⅴ

 

介護職員処遇改善加算区分の説明図

 

新設された加算Ⅰは、キャリアパスⅠ+Ⅱ+Ⅲ+職場環境等要件のすべてを満たすことが要件です。

 

キャリアパス要件Ⅰ、Ⅱ、Ⅲとは?

厚生労働省の各都道府県知事あて通知「介護職員処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」より

 

キャリアパスⅠの要件

次のイ、ロ及びハの全てに適合すること。

  • イ 介護職員の任用の際における職位、職責又は職務内容等に応じた任用等の要件(介護職員の賃金に関するものを含む。)を定めていること。
  • ロ イに掲げる職位、職責又は職務内容等に応じた賃金体系(一時金等の臨時的に支払われるものを除く。)について定めていること。
  • ハ イ及びロの内容について就業規則等の明確な根拠規定を書面で整備し、全ての介護職員に周知していること。

 

キャリアパスⅡの要件

次のイ及びロの全てに適合すること。

  • イ 介護職員の職務内容等を踏まえ、介護職員と意見を交換しながら、資質向上の目標及び一又は二に掲げる具体的な計画を策定し、当該計画に係る研修の実施又は研修の機会を確保していること。
  • 一 資質向上のための計画に沿って、研修機会の提供又は技術指導等を実施(OJT、OFF-JT 等)するとともに、介護職員の能力評価を行うこと。
  • 二 資格取得のための支援(研修受講のための勤務シフトの調整、休暇の付与、費用(交通費、受講料等)の援助等)を実施すること。
  • ロ イについて、全ての介護職員に周知していること。

 

キャリアパスⅢの要件

次のイ及びロの全てに適合すること。

 

イ 介護職員について、経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けていること。具体的には、次の一から三までのいずれかに該当する仕組みであること。

 

一 経験に応じて昇給する仕組み
「勤続年数」や「経験年数」などに応じて昇給する仕組みであること

 

二 資格等に応じて昇給する仕組み
「介護福祉士」や「実務者研修修了者」などの取得に応じて昇給する仕組み
であること。ただし、介護福祉士資格を有して当該事業所や法人で就業する者についても昇給が図られる仕組みであることを要する。

 

三 一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み
「実技試験」や「人事評価」などの結果に基づき昇給する仕組みであること。
ただし、客観的な評価基準や昇給条件が明文化されていることを要する。

 

ロ イの内容について、就業規則等の明確な根拠規定を書面で整備し、全ての介護職
員に周知していること。

 

上記のキャリアパスⅢの要件を簡略化しますと次のような仕組みを構築する必要があります。
○ 「勤続年数」や「経験年数」などに応じて昇給する仕組み
○ 「介護福祉士」や「実務者研修修了者」などの取得に応じて昇給する仕組み
○ 「実技試験」や「人事評価」などの結果に基づき昇給する仕組み
〇 「上記の内容を就業規則等に載せ、すべての職員に周知すること

 

 

職場環境等要件とは

以下のような賃金改善以外の処遇改善の取り組みを実施することをいいます。
※就業規則等の明確な書面での整備・すべての介護職員への周知を含む。

 

資質の向上

  • 働きながら介護福祉士取得を目指す者に対する実務者研修受講支援や、より専門性の高い介護技術を取得しようとする者に対する喀痰吸引、認知症ケア、サービス提供責任者研修、中堅職員に対するマネジメント研修の受講支援(研修受講時の他の介護職員の負担を軽減するための代替職員確保を含む)研修の受講やキャリア段位制度と人事考課との連動
  • 小規模事業者の共同による採用・人事ローテーション・研修のための制度構築
  • キャリアパス要件に該当する事項(キャリアパス要件を満たしていない介護事業者に限る)
  • その他

 

職場環境・処遇の改善

  • 新人介護職員の早期離職防止のためのエルダー・メンター(新人指導担当者)制度等導入
  • 雇用管理改善のための管理者の労働・安全衛生法規、休暇・休職制度に係る研修受講等による雇用管理改善対策の充実
  • ICT活用(ケア内容や申し送り事項の共有(事業所内に加えタブレット端末を活用し訪問先でアクセスを可能にすること等を含む)による介護職員の事務負担軽減、個々の利用者へのサービス履歴・訪問介護員の出勤情報管理によるサービス提供責任者のシフト管理に係る事務負担軽減、利用者情報蓄積による利用者個々の特性に応じたサービス提供等)による業務省力化
  • 介護職員の腰痛対策を含む負担軽減のための介護ロボットやリフト等の介護機器等導入
  • 子育てとの両立を目指す者のための育児休業制度等の充実、事業所内保育施設の整備・ ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の介護職員の気づきを踏まえた勤務環境やケア内容の改善・ 事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成による責任の所在の明確化
  • 健康診断・こころの健康等の健康管理面の強化、職員休憩室・分煙スペース等の整備
  • その他

 

その他

  • 介護サービス情報公表制度の活用による経営・人材育成理念の見える化
  • 中途採用者(他産業からの転職者、主婦層、中高年齢者等)に特化した人事制度の確立(勤務シフトの配慮、短時間正規職員制度の導入等)
  • 障害を有する者でも働きやすい職場環境構築や勤務シフト配慮
  • 地域の児童・生徒や住民との交流による地域包括ケアの一員としてのモチベーション向上
  • 非正規職員から正規職員への転換
  • 職員の増員による業務負担の軽減
  • その他

平成29年度の介護職員処遇改善加算に係る加算率

上記説明の通り、加算Ⅰ~加算Ⅴまでありますが、下記表は加算Ⅰから加算Ⅲまでの表示です。
加算Ⅳについては、加算Ⅲにより算出した単位×0.9。加算Ⅴにおいては、加算Ⅲにより算出した単位×0.8で計算します。

 

介護サービス名(介護予防も含みます) 加算Ⅰ 加算Ⅱ 加算Ⅲ
訪問介護 13.7% 10.0% 5.5%
訪問入浴介護 5.8% 4.2% 2.3%
通所介護、地域密着型通所介護 5.9% 4.3% 2.3%
通所リハビリテーション 4.7% 3.4% 1.9%
短期入所生活介護 8.3% 6.0% 3.3%
短期入所療養介護(老健) 3.9% 2.9% 1.6%
短期入所療養介護(病院等) 2.6% 1.9% 1.0%
特定施設入居者生活介護 8.2% 6.0% 3.3%
介護老人福祉施設 8.3% 6.0% 3.3%
介護老人保健施設 3.9% 2.9% 1.6%
介護療養型医療施設 2.6% 1.9% 1.0%
定期巡回・随時対応型訪問看護 13.7% 10.0% 5.5%
夜間対応型訪問介護 13.7% 10.0% 5.5%
認知症対応型通所介護 10.4% 7.6% 4.2%
小規模多機能型居宅介護 10.2% 7.4% 4.1%
認知症対応型共同生活介護 11.1% 8.1% 4.5%
地域密着型特定施設入居者生活介護 8.2% 6.0% 3.3%
地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護 8.3% 6.0% 3.3%
看護小規模多機能型居宅介護 10.2% 7.4% 4.1%

介護職員処遇改善加算

 

以下の介護サービスは算定対象外です。

 


介護予防を含む、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、福祉用具貸与、特定福祉用具販売、居宅介護支援、介護予防支援については加算算定対象外です。

 

以上、平成29年介護職員処遇改善加算についてでした。

 

 

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