介護保険制度の概要と高齢化率の推移

介護保険制度のはじまりから目的、問題点、高齢化率の推移などについて解説しています
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介護保険について

このページでは、介護保険の概要、日本の高齢者福祉政策の流れ、介護保険導入の経緯と目的・理念について取り上げた記事です。

 

介護保険とはどんな保険?

介護保険とは、加入者(被保険者)を40歳以上の人を対象にしていて、基本的には65歳以上の方が要支援や要介護状態に認定されてはじめて使うことができる介護のための保険です。

 

介護認定は、要支援においては要支援1と2があり、要介護には1~5まであり全部で7つに区分されています。

 

介護サービスを利用してかかった費用のうち自己負担額は1割です。残り9割は介護保険からサービス提供業者に支払われます。たとえばひと月で20万円かかったとしても自己負担額は2万円の支払いでOKということです。残り18万円は介護保険から支払われるということになります。

 

介護保険の特徴としては、被保険者(保険がついている人)が二つに分かれている点があげられます。

  • 40歳から64歳までを第二号被保険者
  • 65歳以上を第一号被保険者

といいます。ということで、39歳までは、被保険者に該当しませんので、要介護状態になっても介護保険を利用することができません。そのため保険料も納める必要はありません。

 

介護保険が使える要件

介護保険が使える要件としては、次のように年齢で区分され、指定されています。

 

  • 65歳以上の人においては、原因を問わず要支援や要介護状態になり認定されたとき
  • 40歳から64歳までの方は、ガンやリウマチなどの特定疾病で要支援・要介護状態になり認定されたとき

 

このように指定されていますが、それではなぜ介護保険制度が導入されたのかについて見てみましょう。

高齢化率の推移と日本の高齢者福祉政策の流れ

1960年の日本の高齢化率は、まだ5.7%です

1963年に老人福祉法が制定されました。(第1条・目的 この法律は、老人の福祉に関する原理を明らかにするとともに、老人に対し、その心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な措置を講じ、もつて老人の福祉を図ることを目的とする)

  • この年に特別養護老人ホームが創設されました
  • ホームヘルパーの法制化も行われています

1970年の高齢化率は7.1%になりました

1973年は70歳以上の高齢者医療費無料化がスタートしました

1978年 ショートステイを制度化しました

1979年 デイサービスを制度化しました

1980年は高齢化率が9.1%になりました

1982年に老人保健法が制定されています

この法により1973年から始まった老人医療費無料化は終了しました。

1989年にゴールドプラン(高齢者保健福祉推進十ヵ年戦略)が策定されました

1990年は高齢化率12%へとアップしました

1993年は療養型病床群が設置されました

療養型が設置された理由として、一般病床の回転率を上げるため長期入院する高齢者を別枠扱いとするためです。

1994年に健康保険法が改正されました

付き添い看護・介護が撤廃され、在宅医療の明確化と在宅介護の充実がうたわれました

1994年末に新ゴールドプラン(新・高齢者保健福祉推進十か年戦略)策定しました

全ての高齢者が心身の障害をもつ場合でも尊厳を保ち、自立して高齢期を過ごすことのできる社会を実現していくため、高齢期最大の不安要因である介護について、介護サーピスを必要とする人誰もが自立に必要なサービスを身近に手に入れることのできる体制を構築する。というのを基本理念としています。

1997年に介護保険法が成立しました

2000年に高齢化率がさらにアップし17.3%になりました

この年に介護保険法施行され、ゴールドプラン21を策定しました。

 

ゴールドプラン21の基本的目標とは

1、活力ある高齢者像の構築
「高齢者の世紀」である21世紀を明るく活力ある社会とするため、可能な限り多くの高齢者が健康で生きがいをもって社会参加できるよう、「活力ある高齢者像」を構築する。

 

2、高齢者の尊厳の確保と自立支援
要援護の高齢者が自立した生活を尊厳をもって送ることができるよう、また、介護家族への支援が図られるよう、在宅福祉を基本として、介護サービス基盤の質・量両面にわたる整備を進める。

 

3、支え合う地域社会の形成
地域において、介護にとどまらず、生活全般にわたる支援体制が整備されるよう、住民相互に支え合うことのできる地域社会づくりや高齢者の居住環境等の整備に向けて積極的に取り組む。

 

4、利用者から信頼される介護サービスの確立
措置から契約への変更が利用者本位の仕組みとして定着するよう、利用者保護の環境整備や介護サービス事業の健全な発展を図り、介護サービスの信頼性を確立する。

 

5、介護保険導入前の高齢者介護に関しての問題点とは

介護保険導入前の問題点について見てみましょう。
介護保険導入前は、老人福祉法と老人保健法という別々の法のもとで老人介護と医療サービスを担っていました。つまりは、2つの制度が並存してサービスを行っていたということです。では、これらには、どんな問題点があったのでしょうか。

 

老人福祉法

 

老人福祉法のもとで行われていたサービス

  • 特別養護老人ホーム
  • ホームヘルプサービス
  • デイサービス
  • 福祉用具給付・貸与など

これらは、全額公費で賄われていました。

 

老人福祉法の問題点とは?

  • 市町村がサービスの種類や提供機関を決めていたため利用者がサービスの選択をすることができなかった
  • 所得調査が必要であった
  • 市町村が提供するサービスが基本であったため競争原理が働かずサービス内容が画一的になりがちだった
  • 本人と扶養義務者の収入に応じての負担(応能負担)としていたため、中高所得者層にとっては重い負担になっていた

 

 

老人保健法

 

老人保健法のもとでの行われていたサービス

  • 老人保健施設
  • 療養型病床群
  • 一般病院
  • 訪問看護
  • デイケア等

これらは、医療保険料+公費で賄われていました。

 

老人保健法の問題点とは?

  • 中高所得者にとっては、介護サービスを提供できる施設が少なかったこともありますが、老人福祉法でのサービスを利用するよりも、老人保健法に基づく老人医療制度のサービスを利用したほうが、所得に関係なく一定の割合で負担(応益負担)のため経済的な負担が少ないために、医学的には入院の必要がないにもかかわらず介護を理由として一般病院への長期入院者が多くなった。これを社会的入院ともいいます。
  • 一般病院では、特別養護老人ホームや老人保健施設に比べてコストが高いため、医療費が増加した
  • 一般病院では、居室面積が狭いことやお風呂がない、治療目的としたスタッフ人員配置のため、介護者を長期に療養するには無理があった

 

介護保険導入の経緯と目的・理念とは

 

以上見てきたように、老人福祉法と老人保健法の門題点や要介護高齢者の増加、介護期間の長期化、さらには介護をする側の問題として家族の高齢化、核家族の進行により家族で高齢者介護者を支えるのが限界ということもあり、高齢者の介護を社会全体で支えあう仕組みとするため介護保険が創設されました。

 

介護保険の目的

 

(第一条)この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。
介護保険の給付 Edit

 

(第二条)介護保険は、被保険者の要介護状態又は要支援状態(以下「要介護状態等」という。)に関し、必要な保険給付を行うものとする。

 

保険給付は、被保険者の心身の状況、その置かれている環境等に応じて、被保険者の選択に基づき、適切な保健医療サービス及び福祉サービスが、多様な事業者又は施設から、総合的かつ効率的に提供されるよう配慮して行われなければならない。
国民の努力と義務 Edit

 

(第四条)国民は、自ら要介護状態となることを予防するため、加齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに、要介護状態となった場合においても、進んでリハビリテーションその他の適切な保健医療サービス及び福祉サービスを利用することにより、その有する能力の維持向上に努めるものとする。

 

 

サービス利用者からみた従前制度との違い

 

従前制度の違い介護保険
左側が従前の制度、右側が介護保険制度です。左右の違いをご覧ください。

 

介護保険制度,高齢化率

 

介護保険とは?のまとめ

介護保険の被保険者とは、40歳以上が被保険者になります。
そのため40歳以上の人(生活保護受給者は除く)は、介護保険料を負担するということになります。

 

区分としては、40歳から64歳までを第二号被保険者と言い、65歳以上を第一号被保険者と言います。

 

主な違いは、第二号被保険者は、特定疾病で介護になった時に介護保険から給付が受けられますが、第一号被保険者は、そういった規制はなく、入浴や排泄、食事などの日常生活動作の介護や支援が必要な方で要支援や要介護認定されると介護保険が利用できます。

 

該当カテゴリー:介護保険の基礎
関連カテゴリー:介護施設高齢者

 

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